飢餓がない!! 恐ろしい日本の食物自給率

 前回、日本のこれからの目標について考えた。
 その続きで書きます。
 前回、書いていて気になったことがある。それは、今の日本に飢餓がないということだ。
もちろんそれは好ましいことだが、よ~く考えると、非常に難しい問題を含んでいると思われる。

 前回、柳田國男の農政政策や石原莞爾の考えた日本像を紹介した。しかし、この二人の共通する認識として日本に飢餓の危険があり、それを防がなければならないという重大目標があったのだ。
 柳田國男が農政を勉強したのは飢餓問題の解決をしようとしたわけだし、石原莞爾が日本の将来像を提言した終戦直後は、「外地から内地へ引き上げてくるたくさんの人がいて、空襲で焼かれた焼野原が広がって、日本人は食えるのか?」という重大な問題があったのだ。

 しかし、今、誰が日本で飢餓問題の解決を考えているだろうか?
 今の日本には飽食はあっても、飢餓はない。
 なぜだ?
 食物自給率が40%と言われている日本で、なぜ飢餓がないのか?
 言うまでもなく、食物を輸入しているからだ。それは一体どういうことになるのか?

 まず、今回は現状認識するために資料を集めてみました。

 まず、農林水産省の「平成26年よくわかる食物自給率」から引用します。
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/pdf/260219factbook.pdf

 まず、どのくらい自給しているのか?
 米    100%
 小麦   12%
 肉類    8%
 魚     58%
 大豆    8%
 野菜   78%

 肉や大豆はほとんど海外に頼っている状況で、小麦もそうだ。
 野菜はまだいい方で、魚は6割くらいだ。
 これを見ると醤油や味噌といった日本人の食生活に欠かせない調味料の原料である大豆がほとんど、外国からの輸入に頼っている。(よく醤油とか納豆なんか「北海道大豆使用」なんて書いてあるけど、どうなってんのか?)

 年代で見てみると昭和35年には、カロリーベースで79%、生産額ベースで、93%自給していた。しかし、その後年々自給率は下がり、平成24年の段階でカロリーベースで39%、生産額ベースでは68%に落ち込んでいる。

 カロリーベースと生産額ベースの違いは、農林水産省は以下の説明を行っています。
「カロリーベースの食料自給率は、生命・健康の維持にはカロリーが不可欠であることから、供給カロリーが国内生産でどの程度賄われているのかを示す指標。
生産額ベースの食料自給率は、国内農業の経済的価値を示す指標であり、高度な生産管理により高品質な農産物を生み出すという我が国農業の強みを表すもの。」
 
 カロリーベースとは、栄養としてどのくらいかということで、生産額はお金に換算するということみたいだ。
 例えば、安くてカロリーのあるおにぎり10個1000円と高級なステーキ肉100g1000円があるとして、おにぎりは,10個で10人分の空腹を満たせるが、高級肉は100g1000円で一人の空腹しか満たせないみたいなことだろう。
 生産額からすると、ステーキは、2000円の半分の1000円だけど、カロリーベースだとステーキは11分の1だ。
 つまり日本人は高級食材を作ってもうけているけど、量は作っていないということだろう。

 農林水産省の「平成26年よくわかる食物自給率」には外国の食物自給率も書いてあります。(カロリーベース)
 カナダ       223%
 オーストラリア  187%
 アメリカ      130%
 フランス      121%
 ドイツ         93%
 イギリス       65%
 イタリア        59%
 韓国          50%
 日本          39%

 どう見ても日本が危ないことがわかる。欧米はほとんどの国で自給かそれに近い状態にあるじゃないか?
 最悪の事態になっても国民を飢餓に直面させない準備ができている。
 これは寒々しい情報だ。
 怖すぎる。

 では、上記の食物はどこの国から輸入しているのだろうか?
 (今度は別のサイト「JFTCキッズサイト」からの情報、2012年、平成24年)
http://www.jftc.or.jp/kids/kids_news/japan/item.html

小麦   52.9% アメリカ
      27.6% カナダ
      19.2% オーストラリア

大豆   61.6% アメリカ
      19.5% ブラジル
      16.3% カナダ

トウモロコシ
     75.5% アメリカ
     12.3% ブラジル
      3.6% アルゼンチン
 
「米国食肉輸入連合会」のサイトから
https://www.americanmeat.jp/trd/database/market/pork/2012/index.html
(2012年 平成24年)
豚肉   40.3% アメリカ   
      22.2% カナダ
      15. 0% デンマーク

「農畜産業振興機構」のサイトから
http://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_000479.html
(2010年 平成22年)

鶏肉
     約90.0% ブラジル


「米国食肉輸入連合会」のサイトから
http://www.americanmeat.jp/trd/database/market/beef/004.html
(2010年 平成22年)

牛肉
    70%  オーストラリア
    18%  アメリカ

 上記の結果でやはりアメリカからの輸入が多い。以外なのは鶏肉のブラジルと牛肉のオーストラリアが意外に多いことだった。

 それにしてもアメリカが多い。もし、アメリカが食物の輸入ストップなどの制裁措置を日本にとったら、日本の相当のパーセントが餓死する可能性があるということだ。
 アメリカが制裁するとすると、他の国々も協力するだろうから、カロリーベース食物自給率40%から考えると半分近くが餓死する可能性があるのではないか?

 日本がアメリカに逆らえない理由の一つもここにあるに違いない。
 私は以前、アメリカの農業のやり方を自然を破壊し、循環式農法を行わない「略奪式農業」と批判したが、自分も、その略奪式のアメリカ農業の食品を食べて生きているのだ。

 情けない。

 これに加えて種の自立もある。種の輸入がストップしたら農作物を育てられないではないか。

 食物の自立は、精神の自由の基礎という私の考えからは程遠い日本の現実だ。
 アメリカ屈従の理由がここにもあるのか?

 農林水産省の「よくわかる食物自給率」には、食物自給率が下がった理由が二つ述べられている。
 「品目別の一人一日当たりの供給カロリーを見てみると、国内で自給可能な米の供給量が減少する一方、輸入農作物に依存した肉類、油脂類の供給量が増加しています。」

「我が国は地形が急峻で、国土面積の約7割を森林が占めており、さらには経済の発展とともに工業用地、住宅用地の需要が伸びたことから、農地面積は年々減少しています。」

 食生活の変化、肉食が増加して、パン食などが増え、米食が減ったこと。
 農地が住宅や工業用地になったこと。

 これに加えて、農業を継ぐ人々は減っていることもあるだろう。
 そしてアメリカの圧力が陰陽にかかっていることも、推測できる。

 国は、農業を本気で守ろうとしていないと思う。以前、農業の本を読んだけど、ヨーロッパ諸国でも農業は、国が支えて保っている産業なのだそうだ。自由競争に任せては農家は絶対潰れるものなのだそうだ。
 国が本気で農業を守らないから、日本の農業は、衰弱していくのではないだろうか?

 また、給食で戦後パンを食べさせたのはアメリカが日本人にパン食を覚えさせて小麦の輸入を増加させる作戦だったと聞いている。
 食生活の変化には、アメリカの圧力もあっただろうし、日本政府の協力もあったのではないかと邪推してまう。

 今日は、食物自給率の低下の原因や対策までは考えず、今後の課題とすることにします。
 まずは現実認識として書きました。
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by isehyakusyou | 2014-03-20 18:54 | Comments(2)
Commented by 太一 at 2014-03-31 00:28 x
たしかに食料の自給と安全保障とは一体不可分ですね。そのことがほんとうの意味で分かっているのは今となっては数少ないと言えるかもしれません。
ただ、カロリーベースの計算なので、いろいろとマジックはあると思います。輸入が途絶えたら10人のうち6人が餓死するとは限らないと思います。
そもそも必要なカロリーの計算は欧米の栄養学を基礎としているので、日本人にそのまま当てはめていいものなのか疑問ですし、肥満と残飯の膨大な廃棄という現実を考えると、現在と同等の食料が今後も必要なのか疑問です。
今も八百屋で売っている野菜はほとんど国産ですし、あとは近海の魚類と米があれば最悪の事態にはならないと思います。
食い過ぎの肉を減らし、油(大豆由来)っこい外食をやめればいいだけの話しで、やる気になれば潜在的に我国の食料自給率は高いと私は考えます。
面倒なので数値は出しませんが、実際、日本は農業国ですよ。
Commented by 素人百姓 at 2014-04-02 21:29 x
参考意見をありがとうございました。
この件については、また、別の話も含めて、後日、記事にして書いていきたいと思います。
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