孫崎享氏は、もと外務省の官僚で、国際情報局長、イラン大使を歴任し、防衛大学教授にもなった人物だ。
私は、この人の「戦後史の正体」を読んで感動したので、講演に行くことにした。 この人はTPP訴訟の会でも活躍している人で、私はTPP訴訟の会の会場で何度も顔は拝見していた。 この講演会で面白かった内容を紹介する。 1 日本の領土問題は、ポツダム宣言で宣言されている。 日本が大東亜戦争の敗戦時に受諾したポツダム宣言には、「日本国の主権は本州、北海道、四国、九州ならびに、我々の決定するいくつかの小島に限定される」とある。 2 アメリカはソ連と日本の両方に、矛盾した政策をした。 「我々(連合国)の決定するいくつかの小島に限定される」と言われた小島に、択捉島、国後島が入るかが問題です。それについてアメリカが矛盾した政策を行ったそうです。 ①アメリカ大統領ルーズベルトは、ヤルタ会談で、第二次大戦へのソ連参戦の代償として、択捉、国後島をソ連に渡す約束をした。 ②1951年サンフランシスコ講和条約の時に、アメリカの国務省政策顧問ダレスは、日本に「択捉、国後を日本がソ連領としたら、沖縄を返さない」と脅した。 この①、②の矛盾したアメリカの政策により、北方領土問題が発生した。それはソ連(ロシア)と日本をいがみ合わせるために、アメリカが仕組んだ罠だった。 3 尖閣諸島は日中間で棚上げするという長年、暗黙の了解になっていた。 1972年田中角栄と周恩来の間でそういう話になった。また、1978年の日中首脳会談で中国の鄧小平が「尖閣諸島問題は棚上げにしよう」と言ったことに、日本側は、何も答えず、棚上げは、暗黙の了解となった。 それは長年、外務省の常識だった。 4 今、外務省で尖閣諸島の棚上げについて、発言すると左遷される。まるで長年の暗黙の了解がなかったことのようにされている。 外務省の現在の方針に反対して、当時の交渉責任者である栗山尚一氏が長年の尖閣棚上げ黙認を指摘したが、2012年、産経WEB版で、ほとんどの政治家、マスコミは外務省や政府が怖くて、その発言は無視した。 中国は尖閣諸島について、「自分の領土だが、日本が使っていい」という形で黙認してきた。 それを軍事増強の理由にすることは、絶対におかしい。 5 孫崎氏は、TPPのISD条項の恐ろしさをテレビで訴えたが、テレビに、政府からクレームがついて、それ以来テレビに出演できなくなった。 6 現在、日本はおかしい方向にどんどん行こうとしている。TPPもそうだ。情報が隠蔽されたり歪曲されたりしている。 7 安保条約でアメリカは日本を必ず守るとは言っていない 安保条約には、日本が外国から攻められたときには、アメリカは憲法に従って判断すると書いてある。憲法に従うとは、議会の承認があれば実行するということ。議会が承認しなければ、アメリカ軍は動かない。 だいたいアメリカ政府は、どんな時も憲法に従うに決まっているから、何も約束していないのと変わらない。 このことも知らずに、漠然と安保でアメリカが日本を守ると思っていた私は馬鹿だった。これは、情報操作だし、私は情報操作に騙されていたと思った。 8 オスプレイはアメリカでは使わない方向で動いている。また中国などとの戦争がもしあっても役に立たない。 私の感想。 よくわからないが、どうやら日本は、不良品の役に立たない、処分するしかないようなオスプレイをアメリカに買わされたようだ。また、多国籍企業のいいなりなのか?また日本は、1%富裕層に奉仕してしまったのか? 私としてはとても面白いためになる講演だった。
by isehyakusyou
| 2016-03-25 18:57
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